インプラントは虫歯になりにくいの?起こり得る口腔トラブルとは?
インプラントは虫歯になりにくいといわれています。「本当に虫歯になりにくいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
本記事では、インプラントは虫歯になりにくいのかどうかについてくわしく解説します。また、インプラント治療後に起こり得る口腔内のトラブルについても解説するため、インプラントを検討している方や、インプラント治療を受けて今後が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
インプラントとは?
インプラントとは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上にセラミックなどで作った人工歯を取り付ける治療です。現在、日本では20数種類のインプラントが販売されています。
インプラントは、次の3つで構成されています。
人工歯根
顎の骨の中に埋め込まれる部分で、インプラント体とも呼ばれます。インプラント体は、すべてを顎の骨に埋入するタイプと、一部分を埋入して上部を露出させるタイプがあります。
咬合力に耐えられる強度があり、なおかつ生体親和性が高く骨と結合しやすいといわれる素材を使用します。具体的には、チタンまたはチタン合金が使われます。
直径が3~5mm、長さは6~18mmで、患者さまに適したものを歯科医師が選択します。
支台部(アバットメント)
人工歯とインプラント体をつなぐ部品で、アバットメントとも呼ばれます。チタンやチタン合金、ジルコニアなどの素材でできています。
アバットメントを使わずに、セメントで直接人工歯を人工歯根につける術式もあります。インプラント体とアバットメントが一体となっているものもありますが、どのタイプを使用するかは歯科医院ごとに異なるでしょう。
人工歯
歯として表に見える部分のことです。レジン(プラスチック)、セラミック(陶器)、セラミックとレジンを混ぜたハイブリッドセラミック、金合金など、さまざまな素材で作られます。
素材によって金額が異なります。
インプラントは虫歯になりにくいの?
結論からいうと、インプラントは虫歯になりません。虫歯とは、歯の表面が細菌の酸によって崩壊し、エナメル質を溶かしながら徐々に歯の内部に細菌が侵入することです。
虫歯になって歯がしみるのは、エナメル質の下にある象牙質が溶かされるからです。虫歯で歯を抜くのは、その下にある神経を損傷するからです。
しかし、インプラントは人工物であるため、エナメル質も象牙質も神経もありません。細菌のもつ酸の力で金属であるインプラントを溶かすことはできないため、インプラントは虫歯にならないのです。
また、インプラントで使う人工歯はつるつるとした素材が多いため、虫歯の原因となるプラーク(歯垢)が付着しにくいです。これも、虫歯が起こらない理由の1つとされています。
インプラント治療後に起こり得る口腔トラブル
インプラント治療後に虫歯が起こるリスクは低いですが、ほかの口腔トラブルが起こる可能性はあります。ここでは、インプラント治療後に起こり得る口腔トラブルについて解説します。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎とは、インプラントの歯周病とも呼ばれる病気です。虫歯と同様に、プラークが主な原因となります。
天然の歯には歯根膜があるため、プラークが侵入しにくいです。
しかし、インプラントには歯根膜がないので、細菌が歯根に進行しやすく、インプラント周囲炎が起こりやすいといわれています。
インプラント周囲炎になると、まず歯茎の粘膜が腫れたり出血が起こったりします。そのまま放置すると急速に進行し、膿が出て歯茎が下がります。
炎症が止まらなければ、どんどん状態が悪化していき、最終的には歯槽骨が破壊されてインプラントが抜け落ちるでしょう。また、インプラント周囲炎の影響は口の中だけにとどまりません。歯周病菌が血管を通して全身にめぐることで、全身状態にも影響を及ぼすとされています。
インプラントが外れる
インプラントが外れる現象は、インプラント体ごと外れるケースと、人工歯のみが外れるケースに分けられます。
インプラント体ごと外れるケースは、上述したインプラント周囲炎や、骨との結合ができなかったことが原因として挙げられます。施術のときに骨を損傷したり、挿入角度を誤ったりすると、骨との結合ができず、インプラント体がはずれやすくなります。
一方、人工歯のみ外れる場合、アバットメントに不具合があることが考えられます。アパットメントの締め付けが不十分な場合、人工歯がはずれやすくなるのです。
上顎洞炎に感染する
上顎洞炎とは、細菌が上顎洞に入って炎症を起こした状態です。上顎洞とは、頬のあたりにある空洞のことです。
インプラント治療においては、人工歯根を上あごの骨に埋め込むときに、上顎洞を突き抜けて粘膜を傷つけることで、上顎洞炎が発症します。インプラント治療後に、歯の痛みや鼻詰まり、頭痛などの症状が出た場合は、上顎洞炎を疑う必要があるでしょう。
インプラント治療後の口腔ケア方法
口腔トラブルを引き起こさずにインプラントを長持ちさせるためには、治療後の口腔ケアが重要です。日頃のお手入れと定期的な歯科受診ができていれば、10年以上もつ可能性もあります。
インプラント治療後の口腔ケア方法は、次の通りです。
歯ブラシで磨く
インプラント治療後も、自分の歯と同じように磨きましょう。歯ブラシは1歯1歯磨くようにこまかく動かします。
とくにインプラント周囲炎を予防するためにも、歯肉との境目をよく磨きましょう。インプラントは虫歯になりませんが、汚れが溜まると隣接する天然歯が虫歯になることはあります。
インプラントはみんな同じものと思われがちですが、実は1人1人形が異なります。インプラント周りの溝や、隣の歯との間の距離には差があるため、同じ歯ブラシを使っていても十分に磨けない可能性があります。
歯科医師や歯科衛生士に相談しながら、自分にあったブラシを選びましょう。
歯間ブラシやフロスを使う
歯間ブラシやデンタルフロスを使って、細かい部分も磨きましょう。歯とインプラントの間、インプラント同士の間などを磨くことで、インプラント周囲炎の予防につながります。
歯間ブラシが入らないくらい隙間が小さいところには、デンタルフロスを使うとより効果的に磨けるでしょう。インプラントの根元や、人工歯を支える部分など細かい部分には、タフトブラシを使うとよりしっかりと磨けます。
洗口液を使う
しっかりと歯を磨いたら、洗口液を使いましょう。洗口液にはさまざまな種類がありますが、自分に合うものを選んでください。
ただし、洗口液はあくまで歯をしっかりと磨いたうえで付属として使うものです。そのため、洗口液のみで口腔ケアを終えるということは避けましょう。
歯科医院で定期検診を受ける
自分でおこなう口腔ケアだけでは、汚れを十分に落としきるのは難しいです。定期的に歯科検診のために受診し、プロの口腔ケアを受けましょう。
お口の状態によって異なりますが、3か月〜半年ごとにケアを受けるのが一般的です。汚れや歯石の除去だけでなく、インプラントの不具合やインプラント治療後のトラブルのチェックもしてくれます。何かあった時にも、早期に対応してもらえるでしょう。
まとめ
インプラントは虫歯にはなりませんが、細菌によってインプラント周囲炎になる可能性はあります。インプラント治療後は、自分の歯と同様にしっかりと口腔ケアをしましょう。
しかし、ご自身での口腔ケアのみでは、汚れを十分に落としきれない可能性があります。定期的に歯科でクリーニングをしてもらうことも検討しましょう。
しっかりとケアをして、少しでもインプラントを長く保ってください。
インプラント治療を検討されている方は、千葉県流山市にある歯医者「ABC歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。