ワイヤー矯正の選択肢!種類ごとの特徴やメリット、デメリットを解説
歯列矯正は、見た目だけでなく噛み合わせや口腔内の健康を改善するために重要な治療法です。歯列矯正のなかでもワイヤー矯正は最も一般的な方法で、さまざまな種類があります。
今回は、ワイヤー矯正の種類と特徴、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
ワイヤー矯正とは?
ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる矯正器具を歯に装着し、ワイヤーを通して歯に力を加えながら移動させる矯正治療法です。ワイヤーにはもとの形に戻ろうとする特性があり、歯に適切な力をかけられるため矯正治療に使用されています。ワイヤー矯正の治療期間は、平均して1~3年です。
ワイヤー矯正の種類
ワイヤー矯正の種類は、以下のとおりです。
・表側矯正
・裏側矯正
・ハーフリンガル矯正
大きな違いは、装置をつける位置と費用でしょう。それぞれのメリットやデメリット、費用などを解説します。
表側矯正
表側矯正は最も一般的な方法で、ブラケットを歯の表側に装着する方法です。さまざまな歯並びに対応できますが、装置が目立つことがデメリットでしょう。治療費の平均は600,000〜1,300,000円です。
表側矯正は、長年にわたって広く行われてきました。治療実績が多く、多くの歯科医師が経験しているため治療の成功率が高いです。
また、ほかのワイヤー矯正の種類と比べると、費用が安い傾向にあります。使用する装置の製造コストが低いことや、治療の手順がシンプルなことが要因でしょう。矯正装置によって舌の動きが制限されないので、ほかの方法と比較して発音しやすいとされています。
一方、歯磨きなどの口腔ケアがしにくい点がデメリットとして挙げられます。装置を歯の表側につけるので、口を開けたときに見えやすく目立つこともデメリットです。装置の周りに食べ物が詰まりやすく、虫歯や歯周病の原因になることもあるでしょう。
裏側矯正
裏側矯正は、装置を上下の歯の裏側に装着する方法です。治療費の平均は1,000,000~1,800,000円です。
装置が目立たないことと、装置が原因の口腔トラブルが起きにくいことがメリットでしょう。歯の裏側は、常に唾液が循環しています。装置の周りに食べ物が詰まりやすいですが、唾液によって洗い流されやすい環境であるため、虫歯にはなりにくいのです。
デメリットは、表側矯正よりも治療期間が長くなる場合が多いことでしょう。歯の表側につけるワイヤーよりも裏側につけるワイヤーのほうが短くなるので、矯正力の微調整ができない場合があるのです。
また、裏側矯正は特別な技術が必要な治療です。歯の裏側に装置をつけるので、歯科医師の技術力が求められる治療法といえます。そのため、表面矯正と比較して費用が高額になる場合が多いです。
歯の裏面に矯正装置をつけるため、装置が舌の動きを邪魔することもあるでしょう。発音が不明瞭になる、舌に当たって痛むなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正は、上の歯は裏側矯正、下の歯は表側矯正を行う方法です。治療費の平均は800,000~1,500,000円です。
口を開けたときに目立ちやすい上の歯は裏側に装置をつけるので、装置が目立ちにくいことが大きなメリットでしょう。下の歯には表側矯正を行うことで、上下ともに裏側矯正を行うよりも治療期間を短くできる場合が多いです。
ハーフリンガル矯正は、製造コストの高い装置を上の歯にしか使いません。裏側矯正と比べて費用を抑えられます。
表側矯正よりも治療期間が長くなることがデメリットでしょう。上の歯は裏側矯正なので、上下ともに表側矯正で治療するよりも時間がかかります。
ハーフリンガル矯正では、下の歯が歯磨きしにくいとされています。下の歯は表側矯正で、装置の周辺に食べ物が詰まりやすいからです。
上の歯の裏側につけた装置が舌に触れて、発音が不明瞭になる場合もあるでしょう。
ワイヤーとブラケットの種類
ブラケットとは、歯の表面に固定されるワイヤーを通すための装置です。ワイヤーは、ブラケットに通して歯に矯正力を与えます。
それぞれの種類を確認しましょう。
ワイヤーの種類
ワイヤーの主な種類は、以下のとおりです。
メタルワイヤー
メタルワイヤーは、金属製のワイヤーです。耐久性が高いことがメリットですが、金属なので目立ちます。
ホワイトワイヤー
ホワイトワイヤーは、ロジウムや樹脂でコーティングされたワイヤーです。目立ちにくく、金属アレルギーのある方でも使用できる場合があります。
ゴールドワイヤー
ゴールドワイヤーは、金合金でコーティングされたワイヤーです。メタルワイヤーより目立ちにくいとされていますが、歯や肌の色によっては目立つ可能性もあるでしょう。
ステンレスワイヤー
ステンレスワイヤーは、鉄とクロムとニッケルの合金で作られたワイヤーです。メタルワイヤーと比較して軽く、錆びにくいことが特徴でしょう。
コバルトクロムワイヤー
コバルトクロムワイヤーは、コバルトクロム合金のワイヤーです。弾性が高く、歯列矯正の仕上げに使われることが多いでしょう。
リテーナーワイヤー
矯正治療が完了しても、歯は不安定な状態です。歯の移動が終わったからと矯正装置を外して何も装着せずに過ごすと、歯がもとの位置に戻る後戻りが起きます。
リテーナーワイヤーは、治療後の後戻りを防ぐために使用されます。
ブラケットの種類
ブラケットの主な種類は、以下のとおりです。
メタルブラケット
メタルブラケットは、ステンレススチールやチタンなどの金属でできたブラケットです。金属なので耐久性に優れており、長期間の矯正治療にも安心して使用できます。
目立つ金属の色と形により、自然な歯の見た目を損なうことがデメリットです。
ハイブリッドブラケット
ハイブリッドブラケットは、プラスチックとセラミックで作られたブラケットです。透明なので目立ちにくい反面、プラスチックを使用しているため耐久性が劣ります。
プラスチックは変色しやすいので、カレーやコーヒーなど色の濃い飲食物を摂取するとブラケットが変色するかもしれません。
プラスチックブラケット
プラスチックブラケットは、名前のとおりプラスチックで作られたブラケットです。透明なため審美性がよいですが、時間が経つと変色します。
強度が低いので、破損を防ぐために厚く作る必要があることもデメリットでしょう。また、強い矯正力をかけなければならない症例には対応できないことがあります。
セラミックブラケット
セラミックブラケットは、セラミックで作られたブラケットです。飲食物によって着色することがなく、歯の色調と近いため目立ちにくいです。
メタルブラケットと比較すると、耐久性が低いことがデメリットといえます。
ジルコニアブラケット
ジルコニアブラケットは、高い耐久性と審美性を兼ね備えたブラケットです。飲食物の着色リスクは低いですが、費用が高いことがデメリットでしょう。
ワイヤー矯正の選び方
ワイヤー矯正の選び方は、矯正治療で何を優先したいのかによって異なります。以下の項目について明確な判断基準を設け、優先順位を決めましょう。
・矯正する範囲
・治療期間
・費用
・見た目
・口腔ケアのしやすさ
矯正する範囲は、歯並び全体を整えたいのか、気になる一部分だけを整えたいのかで異なります。ご自身では前歯の一部分だけを改善したいと思っていても、全体的な噛み合わせを整える必要がある場合もあるので、歯科医師と相談しましょう。
治療期間は、基本的には全体矯正のほうが長くなります。結婚式や成人式など、イベントまでに歯並びを整えたいなどの希望がある場合は、歯科医師に伝えてください。予算をしっかり決めておくことも重要です。
治療中の見た目も、治療方法を決定する重要なポイントといえるでしょう。例えば、接客業に従事している方は、目立たない方法を選択したほうがよいかもしれません。
虫歯になりやすい方や、虫歯や歯周病のリスクが不安な方は、口腔ケアのしやすい装置を選択すべきでしょう。
まとめ
ワイヤー矯正には、表面矯正・裏面矯正・ハーフリンガル矯正の3種類があります。また、矯正装置にもいくつかの種類があります。
それぞれに特徴とメリット・デメリットがありますが、ご自身に最適な方法を選ぶためにはご自身のニーズと条件を理解することが重要です。
矯正装置が目立つことから、ワイヤー矯正を避けている方もいるかもしれません。ワイヤーやブラケットの選択次第で、目立たずに矯正治療を受けられるでしょう。
ワイヤー矯正を検討されている方は、千葉県流山市にある歯医者「ABC歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。