ワイヤー矯正中に痛いと感じるタイミングは?対処法も解説!
「ワイヤー矯正に興味があるけど、痛いのは不安」と思う方は少なくありません。歯並びが気になっていても、痛みが不安で治療に踏み切れない方もいるでしょう。ワイヤー矯正は、歯にワイヤーで力をかけて歯並びを整える治療法です。歯を動かすためには一定の力が必要ですが、ワイヤーの締め付けによって痛いと感じる場合があります。
今回は、ワイヤー矯正で痛いと感じるタイミングと対処法について解説します。ワイヤー矯正を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ワイヤー矯正で歯を動かす仕組みとは?
ワイヤー矯正とは、歯にブラケットを取り付けてワイヤーを通し、歯に力を加えて歯並びを整える治療法です。ワイヤーのしなる力やもとに戻ろうとする性質を利用し、歯に適切な力をかけて動かします。矯正治療では、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)と、その周りにある歯根膜が歯の動きに大きな役割を果たします。ワイヤー矯正で歯を動かす仕組みを確認しましょう。
矯正装置によって歯に力が加わると、加わった力が歯根膜にも伝わります。歯が動く方向の歯根膜は縮み、反対側は引っ張られて歯根膜が伸ばされた状態になるでしょう。
歯根膜には厚さを一定に保とうする性質があります。歯に力が加わると、歯根膜の厚さに変化が生じます。縮んだ歯根膜はもとの厚さに伸びようと、骨を溶かす細胞(破骨細胞)の働きを活性化させるのです。溶かされた骨が吸収され、縮んだ歯根膜がもとの厚さに戻ります。伸びた歯根膜はもとの厚さに縮もうと、骨を作る細胞(骨芽細胞)の働きを活性化させるでしょう。
骨が再生され、伸ばされた歯根膜がもとの厚さに戻ります。歯槽骨が吸収と再生を繰り返すことで、歯が少しずつ移動するのです。歯根膜がもとの厚さに戻ろうとする力と、歯槽骨の再生・吸収を利用して歯を動かすのが、歯列矯正の仕組みです。
ワイヤー矯正中に痛いと感じるタイミング
ワイヤー矯正中には、痛いと感じやすいタイミングがあります。どのようなときに痛いと感じやすいのか、詳しく確認しましょう。
初めて矯正装置を装着したとき
初めて矯正装置を装着したときは、ワイヤーの締め付けによって痛いと感じやすいです。ワイヤーで歯に力を加えると、骨が吸収されて歯が動くためです。
骨が吸収されることで、痛いと感じる原因となる物質が放出されます。個人差はありますが、痛みのピークは1〜2日程度で、徐々に軽減するでしょう。
矯正装置の調整・交換をするとき
ワイヤー矯正では、1か月に1回の頻度でワイヤーやブラケットの交換・調整を行います。計画どおりに歯を動かすためにワイヤーを締めるため、交換・調整時は痛いと感じるでしょう。
調整・交換時の痛みは一時的で、2~3日程度で軽減するのが一般的です。
歯が動いているとき
矯正装置によって歯が動くと、歯根(歯の根元)や歯茎に圧力がかかり、引っ張られるような痛みを感じることがあります。歯を動かすことで痛いと感じるのは、2~3日間がピークです。徐々に痛みは軽減し、1週間程度で落ち着くでしょう。
痛みが強い場合は、ワイヤーの調整や鎮痛薬の処方が必要になる場合もあります。我慢できないほど痛いと感じるときは歯科医師に相談しましょう。
口内の粘膜が矯正装置に触れたとき
矯正装置が頬の内側の粘膜や舌に触れることで、痛いと感じることがあります。特に、食事や会話の際は粘膜や舌が傷付きやすいです。口内炎ができるケースもあるでしょう。
食事するとき
ワイヤー矯正中は歯が動いているため、食べ物を噛むときに負担がかかり、痛いと感じることがあります。特に、硬い食べ物や大きな食べ物を噛むと歯にかかる力が強くなり、痛いと感じやすいでしょう。
痛みが強いときは、お肉やパン、リンゴなどの硬い食べ物は避けてください。お粥や煮込んだうどん、ヨーグルトなど、柔らかい食べ物を選びましょう。
歯磨きするとき
ワイヤー矯正中は歯が動いているため、歯ブラシによる力が加わると痛いと感じることがあります。痛いと感じるのは一時的な場合が多いですが、やわらかめの歯ブラシを使って優しく磨くとよいでしょう。
矯正中はブラケットやワイヤーによって歯磨きがしづらくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。歯が痛いと感じる場合でも、丁寧な口腔ケアを続けることが大切です。
ワイヤー矯正中に痛みがある場合の対処法
ワイヤー矯正中に痛みがある場合の対処法をご紹介します。以下の対処法を試しても痛みが改善されない場合は、早めに歯科医師に相談しましょう。
痛み止めを服用する
矯正装置で歯に力をかけると、歯を支える歯槽骨が吸収と再生を繰り返して炎症が起きます。
歯列矯正は歯槽骨の吸収と再生を活かした治療法ですが、耐えられないほどの強い痛みが続く場合は、歯科医院で痛み止めを処方してもらいましょう。市販の痛み止めのなかには、頻繁に服用することで歯の動きを遅らせるものがあります。市販の痛み止めを使用する場合は、歯科医師に相談しましょう。
歯科医院でワイヤーを調整する
歯並びを整えるためにはワイヤーで一定の力を加える必要がありますが、締め付けが強い場合は痛いと感じます。矯正装置を初めて装着したときや、装置の調整・交換をしたあとなど、ワイヤーを締めた直後は特に痛いと感じるでしょう。
「痛くて眠れない」「痛みで食べられない」など、日常生活に支障をきたすほど痛いと感じるときは、無理をせず歯科医院に相談してください。ワイヤーの調整をしてもらいましょう。
硬い食べ物を控える
硬い食べ物は、噛むときに歯に負担がかかります。ワイヤー矯正の治療中は控えたほうがよいでしょう。特に痛いと感じやすい、矯正治療を開始したときや矯正装置の交換・調整をしたあとは、柔らかい食べ物を選んでください。
ワイヤー矯正中に適した食べ物は、以下のとおりです。
・お粥、リゾット
・煮込みうどん
・味噌汁、スープ
・豆腐・たまご料理
・ヨーグルト、ゼリー
食材はいつもより細かく刻む、柔らかく煮込むなど、食べやすいように工夫しましょう。噛めないほど強い痛みを感じるときは、お粥やスープ、ゼリー、ヨーグルトなど、噛まなくてよいものを食べて栄養を摂ってください。
矯正用ワックスを使用する
矯正用ワックスは、ワイヤーやブラケットが頬の粘膜や舌などに当たって痛いときに使用する保護材です。適量を取って丸め、矯正装置を覆って使用します。
食事や歯磨きのときに取れやすいため、定期的に交換する必要があるでしょう。矯正用ワックスは歯科医院で販売されています。
患部を冷やす
歯が動くことで痛いと感じるときは、患部を冷やすとよいでしょう。歯が動くときに生じる炎症による痛みは、冷やすことで抑えられるためです。タオルでくるんだ保冷材などで冷やして様子をみましょう。
ただし、冷やしすぎると矯正力が弱まる可能性があります。長時間冷却を続けることは避けてください。
まとめ
ワイヤー矯正中は、歯が動くときや矯正装置の交換・調整をしたとき、食事中など、痛いと感じるタイミングがあります。痛みは徐々に落ち着くのが一般的ですが、ワイヤーで力をかけて歯を動かすため完全になくすことはできません。
痛みによって矯正治療が苦痛にならないように、うまく対応することが大切です。今回ご紹介した対処法を試しても痛いと感じるときは、ワイヤーの調整など歯科医師による処置が必要な場合もあります日常生活に支障をきたすような場合は、我慢せずに歯科医師に相談しましょう。
ワイヤー矯正を検討されている方や矯正中で痛みに悩まれている方は、千葉県流山市にある歯医者「ABC歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。