ワイヤー矯正で前歯だけを治療できる?メリット・デメリットを解説
見た目の印象を左右する前歯の歯並びを気にする方は多いです。前歯の気になる部分だけをワイヤー矯正で治療することはできるのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
ワイヤー矯正は奥歯を含めた歯列全体を矯正することが基本ですが、歯並びによっては前歯だけの歯列を整える部分矯正も可能です。
今回は、ワイヤー矯正で前歯だけを治療するメリット・デメリットや費用について解説します。ワイヤー矯正で前歯だけを治療したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
ワイヤー矯正で前歯だけを治療できる?
ワイヤー矯正には、奥歯を含めた歯列全体の歯並びを整える全体矯正と、前歯の気になる部分だけの歯並びを整える部分矯正があります。歯並びの状態にもよりますが、部分矯正で前歯だけの歯並びを整えることは可能です。
奥歯の噛み合わせに問題がなく、歯のすき間を埋める・歯の少しの重なりを治すなど、あくまで歯並びの乱れが軽度である場合のみ、部分矯正で前歯だけを治療することができます。
前歯だけの部分矯正といっても右の犬歯~左の犬歯の6本、上下合わせて12本の歯を動かすことが基本です。歯並びの乱れが重度である場合や、歯を動かすスペースが足りない場合は全体矯正で治療する必要があります。
ワイヤー矯正で治療できる前歯の症例は、以下のとおりです。
・軽度の出っ歯・受け口
・すきっ歯
・軽度の叢生・八重歯
それぞれ詳しく解説します。
軽度の出っ歯・受け口
上の前歯が下の前歯に比べて大きく前に出ている状態を出っ歯、反対に下の前歯が上の歯よりも前に出ている状態を受け口といいます。前歯が傾斜しているだけの軽度の出っ歯や受け口の場合は、部分矯正で治療が可能です。
ただし、骨格に問題があり出っ歯や受け口になっている場合は、部分矯正では対応できないため、全体矯正で治療する必要があるでしょう。
すきっ歯
すきっ歯とは、前歯と前歯の間にすき間がある歯並びのことです。すきっ歯の場合は、部分矯正で治療できることが多いです。歯と歯のすき間を埋めるように歯を動かしていきます。
すきっ歯は話すときに歯と歯の間から空気が漏れるため、滑舌が悪くなることがあります。部分矯正ですきっ歯を治療することで、滑舌の改善が期待できるでしょう。
軽度の叢生・八重歯
叢生とは、歯が部分的に重なっているガタガタした歯並びのことです。また、前から3番目の犬歯が歯並びから飛び出している状態を八重歯といいます。軽度の叢生や八重歯の場合は、部分矯正で治療できることが多いです。
ただし、叢生の場合は、顎の大きさに対して歯が並ぶスペースが足りていないことが多いため、全体矯正で治療する必要があるでしょう。
ワイヤー矯正で前歯だけを治療するメリット
ワイヤー矯正で前歯だけを治療するメリットは、以下の3つです。
・治療期間が短い
・費用を抑えられる
・違和感や痛みが少ない
それぞれ詳しく解説します。
治療期間が短い
前歯だけを動かすため全体矯正と比べて治療期間が短いです。前歯は根っこが1本しかなく、根っこが3~4本ある奥歯に比べて歯が動きやすい特徴があります。
一般的に全体矯正の治療期間が2~3年程度であるのに対して、部分矯正の治療期間は数か月~1年程度です。前歯の歯並びの乱れが軽度の場合は数か月で治療を終えられることもあります。そのため、結婚式や就活など大切な予定に合わせて治療ができるのです。
費用を抑えられる
矯正装置を前歯だけに装着するため、すべての歯に矯正装置を装着する全体矯正に比べて費用を抑えられます。治療期間も短いため通院にかかる費用も抑えられるのです。
全体矯正は費用が高くて躊躇していた方でも、部分矯正なら治療できることもあるでしょう。
違和感や痛みが少ない
ワイヤー矯正の装置はご自身で取り外しができないため、食事やお手入れがしにくいというデメリットがあります。
しかし、ワイヤー矯正の装置を前歯だけに装着する場合は違和感が少なく、食事やお手入れもしやすいです。また、全体矯正では歯列全体に力を加えて歯を動かすため強い痛みが生じることがありますが、部分矯正は歯を動かす本数が少ないため痛みも少ないでしょう。
ワイヤー矯正で前歯だけを治療するデメリット
ワイヤー矯正で前歯だけを治療するデメリットは、以下の3つです。
・対応できる歯並びが限られている
・噛み合わせの改善はできない
・歯を削る場合がある
それぞれ詳しく解説します。
対応できる歯並びが限られている
前歯だけの歯並びを整える部分矯正は、歯並びの乱れが軽度の場合にしか対応できません。歯並びの乱れが軽度でも、歯を動かすスペースが足りないなど部分矯正が難しいと判断された場合は全体矯正で治療をする必要があります。
噛み合わせの改善はできない
前歯だけの歯並びを整える部分矯正では、奥歯の噛み合わせの改善はできません。そのため見た目は改善されても、噛み合わせが悪いままという場合があります。奥歯の噛み合わせが気になる場合は、全体矯正で治療をする必要があるでしょう。
歯を削る場合がある
前歯だけの部分矯正が可能と判断された場合でも、歯を並べるスペースを確保するためにIPR(ディスキング)という歯を削る処置を行う場合があります。歯と歯の間をごくわずかに削るため、歯の機能や寿命に影響はありませんが、健康な歯を削ることに抵抗を感じる方にとってはデメリットといえるでしょう。
全体矯正が必要な症例
全体矯正が必要な症例は、以下の3つです。
・不正咬合
・開咬(オープンバイト)
・抜歯が必要な歯並び
それぞれ詳しく解説します。
不正咬合
不正咬合とは、歯並びと上下の歯の噛み合わせが異常な状態のことです。
不正咬合は見た目の悪さだけでなく、虫歯・歯周病などの口内トラブルや頭痛、顎関節症などの身体の不調を引き起こす原因にもなります。
不正咬合は、部分矯正で改善することは難しいため、全体矯正で奥歯の噛み合わせを含めた治療が必要になるでしょう。
開咬(オープンバイト)
開咬(オープンバイト)とは、上下の歯を噛み合わせたときに、奥歯はしっかりと噛み合っているのに前歯が閉じずにすき間ができている状態のことです。奥歯の噛み合わせはよいため、前歯だけの部分矯正で対応できると思われるかもしれません。
しかし、噛み合っている奥歯と開いている前歯の両方を治療しなければならないため、全体矯正での治療が必要なのです。開咬は全体矯正でも難しい症例の1つといえるでしょう。
抜歯が必要な歯並び
歯並びが乱れる原因には、顎の大きさに対して歯が生えるスペースが足りないなど骨格に問題がある場合が多いです。
歯列矯正では、歯を並べるスペースを確保するために抜歯をすることがあります。前から5番目の小臼歯を抜歯することが一般的です。抜歯が必要な場合は、奥歯を含めた全体矯正で歯並びを整える必要があります。
ワイヤー矯正で前歯だけを治療する費用
ワイヤー矯正をはじめとした歯列矯正は、保険適用外のため費用が高額です。
しかし、前述のとおり、全体矯正に比べると費用は抑えられます。
ワイヤー矯正で前歯だけを治療する方法には表側矯正と裏側矯正の2種類があり、それぞれの費用の目安は、以下のとおりです。
なお、歯科医院によって費用は異なるため、あくまで目安として参考にしてください。
表側矯正の費用
表側矯正は、歯の表側に矯正装置を装着する一般的な方法です。歯の表側に矯正装置を装着するため目立ちやすいですが、幅広い症例に対応できます。
ワイヤーやブラケットの種類によって費用は異なりますが、目安は300,000~600,000円です。後述する裏側矯正に比べると、費用を安く抑えられます。
ホワイトワイヤーや透明なブラケットを使用することで矯正装置は目立ちにくくなりますが、費用は少し高くなるでしょう。
裏側矯正の費用
裏側矯正は、歯の裏側に矯正装置を装着するため目立ちません。
費用の目安は400,000~700,000円です。表側矯正よりも費用は高額になり、ワイヤー交換に時間がかかるなどのデメリットがあります。
しかし、歯の表側に矯正装置を装着したくない方にとっては魅力的な矯正方法です。
まとめ
今回は、ワイヤー矯正で前歯だけを治療するメリット・デメリットや費用について解説しました。
ワイヤー矯正で前歯だけを治療する場合は、全体矯正に比べて治療期間が短く、痛み・違和感が少ないです。また、矯正装置を装着する範囲が狭いため、全体矯正よりも費用を抑えることができるでしょう。
一方、ワイヤー矯正で治療できる前歯の歯並びは限られています。ワイヤー矯正で前歯だけを治療したいとお考えの方は、一度歯科医院を受診して相談しましょう。
ワイヤー矯正を検討されている方は、千葉県流山市にある歯医者「ABC歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。